幕末異聞 大坂城炎上

今日は 視点を変えて 慶喜がトンズラした後の 大坂城の運命について書いてみましょう
思えば 「大坂夏の陣」で 淀君・秀頼と共に焼け落ち 
徳川の世の始まる象徴ともなった「大坂城の炎上」ですが
それから250年あまり後の幕末に 今度は幕府の終わりを象徴するかのように
炎上するんですね
f0122653_8311413.jpg慶喜があまりにも早急に立ち退いたものですから 進軍してきた薩長軍も まさか空っぽとは思わず 城を取り囲むだけでした
中に残されていたのは 「大坂城仮留守監察」という訳の分からない肩書きをつけられ ていよく置き去りにされた 目付の妻木頼矩ただ一人
慶喜は 朝廷に対し 「いやー 昨日は上京の途中 先供が勝手にけんかしちゃって・・お騒がせしました 朝廷に反抗する気持ちは 全くないので 大坂城は越前の慶永(春嶽)と 尾張の慶勝に預けて 私は江戸に帰りますねー」と 手紙を送っていたんですね
妻木さんは 城の明け渡しという ありがたくないお役目で 残されていました
ここで 大坂の町におかしな噂が立ち始めます
では 「幕末百話」から 大坂在住の古着屋Aさんの証言をどうぞ!

 明日にもいくさになると 妻子は逃がして おっかなびっくり商売してますと
 誰言うともなく 一橋はんは 逃げ出して 今官軍が城を取り囲んでる
 ご城内は誰でも入れる こういう時に入らないと 拝観できない という噂
 駆けつけてみると 中はあわてて逃げ出したため 家財はそのまま
 みんなが 我勝ちに奪っても 軍隊はとがめません
 これが 大坂中の評判になって 黒山の人だかり
 ところが 二日目とうとう地雷が爆発して 見物は真っ黒こげで
 お堀へ すっ飛ばされました
 嘘か本当か 地雷の実験台のため 人を入れたんだそうです
 こうなると あっという間に「入城禁止」
 奪った者は 「宝春院」へ届け出ろ ときついお達し
 みんな震え上がって 取ってきた物を お返しにあがりました
 たいそうなご大家からも つづらが出て おやあそこも ここも 泥棒仲間・・・
 なんのことはない 地雷の人身御供の上 褒美を取り上げられたような始末

と いうことですよ 大変でしたねー
抜け目のない大坂商人をだますなんて 官軍もやるもんですね
しかし まだ上がある!
宝春院に集まった「戦利品」は 落札にかけるというのでまた大騒ぎ
Aさんはじめ またもや大坂中から 商人が集まりました
ところが 値は決まっても なかなか品物が出てこない
おかしいと思っていると 萩の船頭達が船にことごとく運び込んでいる
付値があまりに安いというので 役人が 自国の船頭に買わせ
長州に持ち込ませたんだそうです

 さすがに長州は 知恵者がいたんですなぁ    (Aさん談)

こうして あとには 大坂城の焼け跡だけが 残りましたとさ



 
 
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by tukitodoraneko | 2008-11-19 10:08 | 江戸のあれこれ

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