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サトウさんは イギリス人

今日はまた よく晴れた風の強い寒ーい日です
朝から 消防車のサイレンを 何度も聞きました
江戸時代は 火事が多かったので 冬場の北西風を嫌うこと
「蛇蝎のごとくであった」と 本にも書いてあります
早く 「梅見」に行きたいんだけどなァ・・・と 思いながら
温かいコタツから 出られずに 本をながめてたら こんな記述に遭遇
 「二月の初め、日陰のすみはまだ地面が石のようにかたく凍りついているというのに
 太陽がこの季節の常で輝かしく照り映えている、そんな穏やかな日和に
 梅は今を盛りと咲きにおうのである。
 しかし私の好みから言うと、梅の花は曇った日にくすんだ色の杉木立を背景として
 暖かい炉辺にすわりながら窓越しに眺めるのが一段とよいようだ」
さて 幕末に書かれたこの風流な「梅談義」
誰が 書いたと思います?
サトウさんは イギリス人_f0122653_1112050.jpg←この人! アーネスト・サトウですよ
えー!? 日本人じゃないのー?
「ジョン万次郎」みたいに 漂流して戻ってきた日本人かと思いますよね
でも 彼はれっきとしたイギリスの外交官
お父さんがスラヴ系のスウェーデン人で Satowと言う姓は
スラヴ系にわずかに伝わる 稀少な姓だそうです
この人は 通訳として19才で日本にやってきて
幕末・明治維新をはさみ 25年も日本に滞在していました
その間には 「生麦事件」あり 「薩英戦争」あり 「下関戦争」もありました
二つの戦争には サトウ自身も船に乗って 現地に行き
若き日の 高杉晋作・伊藤博文・井上馨などにも会っていますよ
幕末の日本を 外側から見た貴重な記録ですね
朝廷と幕府の関係 幕府と諸藩の関係 そして維新そのものも
客観的に見ると こんなだったんだー と目からウロコ・・・
もちろん 外国人から見た日本観なんですが
時には 言論制限のなかった自由な目を通して
「世界の中の日本」を 見直してみるのも おもしろいものです
特にサトウさんは 上の文章のように なかなかの「通」な方ですからね
「梅屋敷」に行って 「麦わら色のお茶」を飲んだり
「米のビール」(お酒)を飲んだり してますから
幕末風俗の書としても面白いですよ
たぶん アーネスト・サトウの視点は 現代の日本人にとても近いのだと思います
今 私がタイムスリップして 幕末の江戸に行ったら
きっと サトウと同じようなところで びっくりしたり 納得したりしそうです
「一外交官の見た明治維新」と言うこの本は その自由な観点から
戦前には 出版されなかったものですが
今では 本当に貴重な時代の記録だと思いますよ
興味ある方は 岩波文庫でどうぞ!

by tukitodoraneko | 2008-02-13 11:49 | 江戸のあれこれ

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