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余の顔を見忘れたか!?

将軍御成りの時 庶民は大変! と書きましたが
じゃあ お城の中ならどうだったんでしょう?
将軍のお仕事のほとんどを占めるのが「謁見」という儀式
正月から始まり いくつもの式日(端午・八朔・重陽といっぱいあります)
将軍や継嗣の誕生祝 参勤交代時の前後の御礼
これ以外にも 定例の月次(つきなみ)登城など 山ほど対面の行事がありました
御目見え以上の旗本だけでも 5300人いたと言われてます
これに加え 参勤交代する大小名が270家
定府(常に江戸にいる)の譜代などを含めるともっとですね
これらに一々 対面するのも大変な労力だったでしょう
でもね 対面 謁見 御目見えといっても 将軍だけが「見る」んですよ
余の顔を見忘れたか!?_f0122653_9505360.jpg家来の方は左の絵の一番上 
小笠原流 真の礼でひれ伏してるだけです
御目見え以上なんてえらぶっても格が低ければ
500畳もある大広間のはるか下座
ひどい時は 廊下の板の間にはいつくばって
ひたすら待っているだけです
それでも大名などは 「○○の守」っていう役職を
呼んでもらえますが(備後の守なら「備後!」とかね) 下々は 間の襖がスーッと開いて また閉まるだけ
本当に将軍がいるのかさえ 分からなかったんです
なので あんまり時間がかかると本当に将軍は中座しちゃったそうです
それは仕方ないか 校長先生のお話より
つまんなかったんでしょう 見えるものが男の背中と ちょんまげだけじゃね
これは 大勢一緒の時だけじゃありません
参勤交代や 大名の代替わりの御礼のため 一人で伺っても同じです
平伏したままでも大変なのに 畳の縁に触っちゃいけないとか
細かい位置まで決まっていて 稽古に3日もかかったんですって!
「面を上げよ」 「ははーっ!」なんてのも うそです
「苦しゅうない 近うよれ!」なんて もし言われても
恐れ入って 動けないフリをするのが正しいマナー
顔なんてちょっとでも上げようものなら 老中からお叱りを受けたそうです
将軍に 儒教を教える者でも 平伏のままご教授しました
こんな風だから 将軍様の顔を見れるのは お側に仕える
ほんの一握りの人だけ
「暴れん坊将軍」が やっつける前に 悪徳大名や旗本に向かって
 「余の顔を 見忘れたか!」って 言うのも嘘ですよね
あの人たち 心の中でいってるはずです
 ホント 知らねぇよ あんた誰よ?・・・・ 

by tukitodoraneko | 2007-06-29 10:35 | 江戸のあれこれ

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