人気ブログランキング | 話題のタグを見る

江戸の促成栽培

江戸の促成栽培_f0122653_16231422.jpg江戸時代の初物四天王は 初鰹 初鮭 初茄子 初茸 だそうです
そのうち茄子は 江戸初期には 家康の御膝下 
駿河の名産でした
 五月雨や 酒匂でくさる初茄子(なすび)
川柳にもありますが 5月に箱根山を越えて来るのが
初茄子
初夢に見るといいと言われる「一富士二鷹三茄子」は 家康の好きなもの 駿河の名物 (鷹は富士裾野に生息する唐種の「こまかえり」と呼ばれる鷹)などの説がありますが
もう一つ 初茄子一個一両という値段を聞いた家康が「駿河で高いのは 富士山 足高(愛鷹)山 茄子 だなっ!」 と 言ったからとも伝わります
しかし この初茄子 江戸で早出し(促成)栽培がはじまると 冬でも出回るようになりました もちろん 高級料亭などですがね
作っていたのは 砂村新田です
ここは 摂津(大阪)からやって来た人々が 開拓した土地で
土地の古文書には「砂村ねぎは 大坂の落ち武者が持ってきた」と あります
同様に 京の壬生菜ももたらされ 葛西領で改良され「京菜」と なりました
そして 寛文年間(1661~)になると 松本久四郎という人が 
真冬に なす・きゅうり・いんげんまめを作って 幕府に献上しています
この人が 「早出し」の元祖といわれる人ですね
江戸の促成栽培_f0122653_17392085.jpg彼は江戸市中から出るごみを
わらや落ち葉と共に積んで 
その発酵熱で地温を上げ 炭火を炊いて 油障子で覆い 気温を保ちました

江戸の促成栽培_f0122653_17452061.jpg







↑ 内部の苗床は こんな感じですね
明治14年に書かれた記録ですが 参考になるかと思います
これらの初物は 高価にとりひきされ 幕府は度々 初物統制のお触れを出しますが
人々の「初物を食べて75日長生きしよう!」という熱はおさまりません
幕末に 八百善で饗されたという「一両二分の茶漬」
これについてきた漬物のなすやきゅうりも たぶん砂村でできたものでしょう

今は 本当に一年中 いろんな野菜が出回っています
江戸のなれの果てに住む私たちも 初物食いには ちがいありませんね

by tukitodoraneko | 2014-07-06 18:11 | 江戸の食文化

<< 江戸の菓子 初物評判 福寿草 >>