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春信との邂逅

春信との邂逅_f0122653_11204967.jpg私の普段の読書は「歴史」「日本文学」に限ったわけでは
ありません
ほとんど同量の海外文学も読みます
ベッドで読むのはたいてい海外ミステリー
中でも「コージーミステリー」という分野です
cozy=居心地の良い 
コージーコーナーという洋菓子のお店ありましたね
その名の通り 暴力的・性的描写のない たいていは女性が主人公のミステリーを こう呼びます
頭を使わず 嫌な思いをせずに読める睡眠剤といったところですね
アガサ・クリスティの小説が代表的でしょうか
← この有名な「シャム猫ココ・シリーズ」は
そのうえ 大好きな猫がでてきますよ
作者のリリアン・J・ブラウンは 残念ながら昨年97才で亡くなりましたが 
シリーズは30冊あまりあって 多くのミステリー好き 猫好きに愛され続けています
カバーイラストを 山城隆一さんが書かれていたのでも有名ですね
しばらくぶりに これを最初から読み返そうと思って 手に取ったのが上の本
この中で びっくりする描写がありました
第一作は 登場人物がアメリカの都会の美術関係者ばかりなのですが
その「バレンタインパーティ」の場面
このパーティは 史上有名なカップルに扮してでるいわば仮装パーティです
ロミオとジュリエット アンソニーとクレオパトラ といったところが一般的
春信との邂逅_f0122653_11524330.jpgところが ホストのアーティスト(もちろん大金持ち!)夫妻が扮したのが 何とこれ! →
「わたしたち 雪化粧の中の若い恋人達なの
 あら ご存知でしょ?あの有名な浮世絵よ 
 春信の」
そういう夫人は 白い着物に 幅広の黒い帯
真っ直ぐな黒髪を すっぽり包むように白絹を
かぶっている・・・というコスプレっぷり
もちろん金髪の夫は 黒のキモノスタイルです
いやー びっくりしましたね!
この本 日本で出版されたのは1988年ですが
アメリカでは1966年に出ています
当時のアメリカでは いかに芸術家の集まりとはいえ 「春信」までが そんなに有名だったのでしょうか?
なんだか思いがけない所で知り合いに合った気分
ロンドンのパブで 「やあ 日本人だね どこから来たの?戸越銀座知ってる?」と 
身長2mくらいありそうな外人男性に いきなり流暢な日本語で話しかけられた時くらい 
びっくりしましたよ
数十年前に一度読んだ時には スルーしていたんですね
懐かしい本の中には 思いがけない出会いが隠れている・・・という話でした

by tukitodoraneko | 2012-05-30 12:17 | 本の話

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