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コニカミノルタと テンの皮

久しぶりに 江戸の小話的なものいってみましょう
この手の話 大好きなんですが 出典が定かでないと なかなか書けません
この話は 岸井良衛さんの書いたもので コニカへの取材済みです
ま、特に試験にも出そうもない分野なんで お耳汚し・・・ってことで

さて 江戸の麹町四丁目北側に 小西六兵衛の薬種店がありました
なかなか繁盛して 裏表ともに土蔵造りでしたが
この当時は とにかく火事が多い
天明年間(1781~)からでも この辺りは五度の大火に 見舞われております
しかし この火災においても 小西六の家は 必ず焼け残ります
文政六年(1823)の火事は まことにひどく 麹町通りの三丁目
北横町の家主の家から出火して 赤坂新店までが灰燼に帰しました
この時の火事で その隣町の小西六の家が焼け残ったのには
ただ 地所が広い 用心がいいだけではなく
じつはここに 先祖伝来のあるものが 役に立ったから・・・というのです
コニカミノルタと テンの皮_f0122653_12493211.jpgその先祖伝来の重物というのが 小西行長が朝鮮から持ち帰ったというテンの皮
テンというのは いたちの仲間で ネコ目(もく)だそうですね
日本にもおりますそうでなかなか かあいらしいもんです
小西六の家では 火事が近いとなるとそれっ!てもんで
この皮をかつぎ出し 二階の軒下から 雨落ちまで
この大皮で 覆うんだそうです
コニカミノルタと テンの皮_f0122653_12563474.jpgもともと 皮ってもんは 火がつきにくく 江戸の火消しも 皮羽織を 粋に羽織ったもんです
そのうえ この貂(テン)の皮ってもんは 火にあうと
柔らかになって 露がたれるように なめらかになると
もうします
残念ながら このテンの皮 数十年に渡るお役目を
果たし 天保9年(1838)の回禄(=火事)にかかり
あえなく 燃え落ちてしまいました
その後の小西六のことですが 幕末ころから流行り
だした写真術の薬材も 扱うようになりましてね
御維新ののち ここから写真機材を扱うお店が分かれ
日本橋に 「小西本店」として独立します
これが 今のコニカミノルタの創業で ございます
思えばはるか太閤のむかし 朝鮮より持ちかえったるテンの皮が
子孫末代までを 回禄より守りし功徳のはなし

それでは 今日はこの辺で・・・・ 
どちらさまも お足元に気をつけて お帰りなさいまし


 



 

by tukitodoraneko | 2011-05-25 13:41 | 江戸のあれこれ

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