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老中のために

今日は 二ヶ月にいっぺん検査に通っている病院の通院日でした
大きな病院の常で とにかく待ち時間が多いのです
行き帰りの電車も含め 結構な時間なので もったいないから 読書時間にあてています
それも 普段は眠くなりそうな つい後回しにしそうな本の・・・
老中のために_f0122653_16482715.jpg← で 今日のお供はコレ
松平定信さま ごめんなさい 
「宇下人言」(うげのひとこと)です
「定信」の二字を分解したタイトルなんですね
内容は・・・うーん、記録としては まあまあ
読めるかな
田安家から 養子に出た経緯などは 
よくわかります
松平定信といえば 「寛政の改革」
それが有名すぎて あとはそんなに知らないわ という方も多いでしょうか
老中のために_f0122653_1721413.jpg
そもそも この人は 田安家初代・宗武(むねたけ)の子
つまり 八代将軍・吉宗の孫なんですね
この人が 田安家を継いでもよかったんですが
「お城の執権(田沼意次)が 台名(たいめい・将軍の意向)のようにあざむいて」
奥州・白河に養子に出されてしまったんですね
この辺 はっきり書いてあって おもしろいです
しかし書いている人の性格が とにかくおもしろみがなく
「房事(男女間の秘め事ですよー)なども 子孫ふやさんと
思えばこそ行う」 っていうんですから 全くびっくりです
老中のために_f0122653_17222496.jpg「英雄 色を好む」なんて どこの国の話?って調子で
そればかりか 平素から「これぞうれしき、これぞたのしきと思うことはなし」と 書いてます
いやな 人生だなあ・・・
← で その退屈な人の「自画像」がこれ
老中のために_f0122653_17264546.jpgお顔のアップが こちらです→ 
この本の一番おもしろいのは 前書きの部分でしょうか
昭和16年に 田安家の末裔の方が この本が伝えられてきた経緯を書いているのですが
「著者本人(定信)の手によって 三重の箱に厳緘のうえ 秘函として伝来」
それが 明治になってから この方のおじいさんの代の時
封印が自然にやぶれてしまい 初めて日の目を見たんですねー
中箱には 「決して開けるべからず」と書いてあったそうですよ
そして 中箱と内箱の間には 封書が一通
 「この書付 子孫が老中になったら 一覧あるべし」
 しかし 絶対に他人には見せるな 一覧したら すぐにふたをしてしまうこと
 虫食いになっても 虫干しなどしてはいけない
 家老であっても 絶対見てはならない
このあとに 文化13年 10月23日の日付と
「楽翁」の署名があったということです
へー! この「宇下人言」って 子孫が老中になった時のために 書かれたんですねー
それが今では 老中じゃないただの人の私も 読めるなんて!
それは ちょっとうれしいかも・・・と 思った病院の待合室でした

by tukitodoraneko | 2010-05-24 18:04 | 江戸のあれこれ

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