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江戸名所 開帳!

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上の絵は「江戸名所図会」の回向院開帳の様子です
すごい人ですねー もともと江戸庶民の行楽といえば寺社参りが一番なんですが
なかでも この開帳の時の賑わいといったら芋の子を洗うよう
ですから 今日はこの「開帳」について勉強してみましょうねー
開帳といっても二種類あり 自分のところで開帳するのは「居開帳」
他国から 江戸の寺院を借りて開帳するのが「出開帳」ですね
このとき借りる寺は「宿寺」といい 回向院 浅草寺 深川永代寺が トップ3でした
全体の七割が 両国・向島・浅草エリアで 開帳されたということです
回向院での出開帳だけでも 江戸期通じて166回もありました
その中でも人気のあったのが 京都嵯峨清涼寺の釈迦如来 善光寺の阿弥陀如来身延山久遠寺の祖師像 成田山新勝寺の不動明王
江戸出開帳の「四天王」と呼ばれました
しかし 出開帳がいつでも大成功というわけでもないのです
「遊歴雑記」の十方庵は「場所・時節・気候」が大事な要素といっています
例えば 天明元年(1781)京都から来た二尊教院の場合
雨天続きのうえ 風邪が大流行 このため大事な霊宝を小石川西岸寺に売り払い
やっとのこと 帰りの路銀を捻出するというありさま
仏さまとはいえ あたりはずれは あったわけですねー
そもそも 出開帳の準備は結構大変
まず寺のある村の村役人を保証人とし 藩の許可をとる必要があります
許可が下りたら 江戸に出て各宗派の「触頭(ふれがしら)」の寺院に行き
添え状をもらって 寺社奉行に出願します
その許可がおりて やっと開帳札とよばれる立て札を出して
開帳のお知らせを することができるのです
もちろん 世話になったところには それぞれ礼金を払い挨拶に回ります
なかなか 大変な手続きが必要だったのですね
その代わり 当たれば大もうけ
安永7年(1778)の善光寺の開帳について「半日閑話」(大田南畝)では
両国橋の通行人の数から 出開帳の人出は60日間で 1600万人以上と見積もっています
そのままに受け取れない数字ですが 当時の開帳の人気の高さがうかがえますね
また 開帳の「江戸入り」というのも宣伝の一つでした
地元から 江戸までの間も街道筋で挨拶を受け
江戸が近づくと 出迎えの人々(講中)が合流し
出発した時には 百人ちょっとだった行列が 江戸に入ると千人以上に
膨れ上がることもあったのです
今ほど 楽に旅行のできなかった江戸時代
各地から 来てくれる「出開帳」は 庶民の楽しみの一つだったのですね

by tukitodoraneko | 2011-10-21 13:36 | 江戸文化歴史検定

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