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扇一本で買われた子供

扇一本で買われた子供_f0122653_14415277.jpgコメント欄で「家光は誰の子?」問題が巻き起こっています
今日は 家光と春日局のこと 書いてみましょう
右→は 麟祥院(文京区湯島)にある 春日局坐像です
お墓もここにありますから ご覧になった方も
いらっしゃるでしょう
では これはどうでしょう ↓
扇一本で買われた子供_f0122653_1501187.jpg




小諸藩牧野家に伝わる「喜内さま・
阿福さま」実は 家光と春日局の木像です
ふだんは 門外不出だそうですよ
この木像は家光が左甚五郎につくらせ
愛妾・お玉・・・後に 5代将軍綱吉を産んだ桂昌院に渡り
そこからまた お玉の異父弟の家系・本庄家の康重に渡ります
この康重が 牧野家に養子に行く時 持ってきて
今に伝わる家宝となっているものです
誰が作らせたにしろ こういうものが伝わっているというのもおもしろいですね
さて もう一つ 今度は「徳川実記」から 家光誕生直後の挿話を・・・
 家光さまが産まれた当時のこと
 秀忠さまには 以前 長男がいらしたが 幼逝なされた
 それで今度の若様こそと 皆が思っている時 だれやらが
 道端に立ち 三番目に通る人に 買い取るまねをさせ
 この人を仮親として育てると 丈夫に育つという俗信を持ち出した

そして本当に 女房5,6人で 生まれて一月足らずの家光を抱き
今の常磐橋のあたりまで 出て行ったというのです
そこで待っていると 三人目に供を連れた武士が通りかかりました
女房は するすると近づいて 「この子 売り申さん」と 言いますと
武士は断りもせず 腰の扇を抜いて 「この扇にて買い申そう」と答えました
子を抱き取ろうとする武士に「おめでたきこと これは若君さまにおはします」
と 話すと 武士は腰の大小を取り 平伏してから わこ様を抱き取りました
この武士は 松平忠輝(家康・六男)の家士・山田長門守正世
それより 城内に導かれ 奥にも通り 様々の賜りものをいただき
一日にして富貴の身分になったと 人々がうらやんだといいます
そりゃあそうですね 後の三代将軍の仮親です
しかし もし家光が 秀忠・江夫婦の実子ではないとしたら
「仮親の仮親」ということになりますねー
私は この話を読んでから 常磐橋を通る度
 へー ここに家光を抱いた女房たちが・・・
と 思い出して 一人 江戸の思い出にひたってしまいます
いろいろ考えると ますますおもしろくなっていく「家光の出生」問題
しばらく はまってしまいそうですよ 

by tukitodoraneko | 2011-08-26 16:03 | 江戸のあれこれ

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