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江戸の庭園自慢

暑いですが ふざけた病名も分かったことだし 今日も元気に行ってみようかな
江戸の庭園自慢_f0122653_120523.jpg今日は 榎本其角(えのもときかく)です
宝井其角も同じ人ですよ
最初 母方の姓・榎本をなのったのですね
1661年生まれ 1707年没
寛文生まれで 延宝ごろ 芭蕉門に入っています
蕉門では 異端児だったことでしょう
お酒好きで 宝永4年 46才で亡くなってます
この人の句は いっぱい句碑に残ってますので 皆さん とっくにご存知でしょう
三囲(みめぐり)神社の 雨乞いの句が一番有名かな
  夕立や 田をみめぐりの神ならば
                         鐘一つ 売れぬ日はなし 江戸の春

こんなのが 有名でしょうか
江戸の庭園自慢_f0122653_12333749.jpg  梅が香や 隣は荻生惣右衛門
これは 荻生徂徠が隣人だった・・・といわれる所以の句ですね
  文七に 踏まるな庭のかたつぶり
落語「文七元結」で有名な 文七の家も近かったのでしょうか
元結は 紙をよったものなので 庭に干すんですね
細い元結を幾重にも はりめぐらせるので 
かたつむり 踏まれるなよ・・・という句です
住居跡の碑は 日本橋・茅場町に残ってますよ
この人は 俳句を通じて 武士とのつながりも多く
いろんなお庭も 拝見しています
特に仲の良かった備中松山の安藤家の大塚別邸などは何度も訪れ 句碑も残しています
「家々の名所」という いわば大名庭園擁護論も書いています
ちょっと 簡単に訳してみましょう
   大名家の家々の庭には 国中の名勝が写され 細川の石 土佐の良材 島津の蘇鉄
   のように 各地の名産も集められている
   そのうえ 珍奇な生き物を放し飼いにし その広さは 三日かけても見尽くせない
   珊瑚の目を入れた剥製の虎が 窟に繋がれ 芭蕉の陰では 孔雀のヒナが鳴いている
   菊や牡丹 蘭の花が咲き乱れ 農家は耕作にいそしみ 五十三次の駅路に(馬の)
   鈴の音は絶えない しかも憎らしいハエも虱もいない

其角は このように言って 諸国を回遊してきた僧侶に 江戸の庭園自慢をします
「大家が門の奥にかくしている名所や 中国のの見たこともない名所など
 これに比べれば 心も動かない お望みなら どこにでもご案内いたしましょう」
とまで言って 自慢しているんですねー
確かに幕末でも 江戸在住の大名家は270家余り
これに上・中・下屋敷があったとすれば×3で 800の庭園が江戸にはあったのですね
これに 5千の旗本屋敷を加えれば 貧乏旗本は別としても数千の庭園があったと
推測されます
まさに 世界有数の庭園都市! それがいま一つの江戸の顔だったのでしょう
江戸にたくさんの植木屋があり 縁日では植木市が大繁盛
そのバックには こうした江戸の武士・庶民の園芸好きが隠れているんでしょうね 

by tukitodoraneko | 2011-08-10 13:57 | 江戸のあれこれ

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