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顔出しサービス!

11月=霜月に出てくる季節労働者のことを もうちょっとくわしく書いてみましょう
農閑期に江戸に出稼ぎに出てくるのは 雪にとざされる北国の人がほとんでです
信濃や越後・越中 加賀のもの それと甲斐からも来ました
ほとんどが 米搗きや湯屋の釜炊きなどの肉体労働につき
春には わずかの金を持って帰っていくのが普通です
出てくる国によって 得意な職業があったのでしょうか
信濃のものは「米搗き」 越後・越中・能登のものは「湯屋」の三助がほとんどだったといいます
明治や昭和になってからも 江戸で「銭湯」を開業している人は
越後出身の方が 多かったんですよ
当時は まだ「三助」という客の背中を流す仕事もあり 
江戸時代には「釜炊き」と兼業していました
何にしても 冬季の江戸では貴重な労働力だったのですね
しかし その中に肉体労働とは違うこんな職業もありました
顔出しサービス!_f0122653_14562920.jpg← それがこれ 「鏡研ぎ」です
当時の鏡は 今のようにガラスの裏に水銀やアルミニウムを塗ったものではなく ただの金属製です
これは自然にくもってしまうので 時々磨かないといけないのですね
この仕事をするのは なぜか加賀から出てくる老人と決まっていました
それも 他の季節労働者のように冬季に出てきます
ゆずの皮や 柘榴の汁など・・・つまり酸性の液体を使い時には 水銀も混ぜて磨くこともあったようです
湯屋の中の狭い出入り口を
「柘榴口(ざくろぐち)」といいますが これは かがんで入るーかがみいるー鏡いる
鏡に必要なので 柘榴口・・・という説もありますよ
力というよりも 根気が必要な仕事のようで 
これは なりふりもかまわない老人の仕事と決まっていたようです
時には 越中ふんどしもゆるんで 大事なものが顔を出すことも・・・

    鏡とぎ 少し出したで顔がふえ

    隣国を 締めて出てくる鏡とぎ

   

by tukitodoraneko | 2009-11-26 15:17 | 江戸のあれこれ

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